20年くらい前、横浜の中華街に"Eric's Last Stand"というバーがありました。場所は加賀町警察署の近く。狭い店内にはデンマーク出身のオヤジと日本人女性がいて、オヤジはごつく、母ちゃんはぶすっとしている。なかなかコアな雰囲気のバーだったと聞きます。
なかなか入れないでいるうちにオヤジが亡くなってしまいました。その後、若い女性バーテンダーを迎えて同じ名前で再開したとき、一度だけ入ったことがあります。
棚や壁に文章を刻印したメタルプレートがいくつも貼り付けてありました。トイレの入口にはこんなのが。
---
TO MY CRITICS
WHeN I'M IN a SOBeR MOOD
I WORRY, WORK, aND THINK.
WHeN I'M IN a DRUNKeN MOOD
I GaMBLE, PLaY aND DRINK.
aND WHeN MY MOODS aRe OVeR
aND MY TIME HaS COME TO PaSS,
I HOPe THeY BURY Me UPSIDe DOWN
SO THe WORLD MaY KISS MY aSS.
---
aとeだけ小文字にする表記法に味があります。逐語訳を試みてみましょう。
---
俺のことをあーだこーだと言う奴らに
うかない気分のときは
迷い、働き、考えた
酔いつぶれたい気分ときは、
打って、遊んで、飲んだ
そして、気分を感じなくなって
寿命が尽きたときは
頼むからうつぶせに埋めてくれ
世の中の奴らが俺のケツにキスできるようにな
---
素敵な内容ですね。生きているうちに話を聞いてみたかった。
もう一つ "HaPPINeSS IS SeX aFTeR FORTY"なんてのもありました。これは翻訳不要ですね。
エリックが元気だった頃、近くに"COPENHAGEN"といういい感じにくたびれたレストラン・バーがありました。フロアにいたデンマーク人のオヤジは、エリックと仲良しだったとか。
その後、"Eric's Last Stand"はオーナーがギリシャ人に変わってギリシャ風バーに転身。エリックの格言は一つも残っていません。"COPENHAGEN"は小綺麗に改築されてフロアのデンマーク人オヤジがいなくなり、しばらくして居酒屋になってしまいました。
昔話でした。