2009/07/26
「シェルブールの雨傘」(ジャック・ドゥミ監督、1964年)
台詞はすべて歌、あふれる色彩。リアリズムとは正反対の人工的な描写です。恋人たちが徴兵をきっかけに別れるというありきたりなお話なのに、ミシェル・ルグランのテーマ音楽が流れるだけでついつい涙腺がゆるんでしまいます。
タイトルバックは、雨に濡れる石畳の歩道。それを真上から捉えた画面の上下左右からさまざまな色の雨傘が入ってきては去っていく。そこに例のテーマ音楽が流れます。これだけでうるうる。もちろん、主人公の男女たちが嘆き別れるシーンでは、なおさらうるうる。いつ刷り込まれてしまったのでしょうか。
徴兵で男が不在となり、残された女が心変わりするというパターンは、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の「恋恋風塵」を思い出します。徴兵が実施されている韓国や台湾ではとてもリアルなお話でしょう。フランスも、アルジェリア戦争の頃は二十歳の男が徴兵されていたわけです。
「シェルブールの雨傘」はラストが心に残ります。それぞれ別の家庭を築いた男女が、たまたま遭遇します。それも、互いの連れ合いがいないシチュエーションで。でも、わずかに言葉を交わしただけで、それぞれの家庭に戻っていく。
身重のカトリーヌ・ドヌーブを娶るのは裕福な宝石商。彼が自分の失恋の思い出を語る場面で、人のいない古いショッピングモールが映しだされます。この印象的なショッピングモールは、シェルブールでも、パリでもなく、ナントにあります。数年前も同じたたずまいでした。
付記
デジタルリマスター版の解像度は720P程度では?色は鮮やかだったけど、走査線が見えるくらいぼんやりしていて残念。
2009/07/22
キーバインディング
PCのキーバインディングをemacs風に統一しました。
もともと、テキスト入力中のカーソル移動や削除は、キーボードのホームポジションのまま、コントロールキーとの組み合わせでこなしてきました。ホームポジションからカーソルキーやマウスに手を移動しなくてよいからです。
キーバインディング(キーの割り当て)にはいくつかの流派があります。vi風、Vz風、emcas風。いずれもそこそこ使いこなせます。でも、やっぱり、統一した方が便利。
MacOSは、ワープロからWebブラウザまであらゆるソフトのキーバインディングがemacs風に統一されています。
WindowsはOSで統一されていません。おのおののアプリでVz風の設定を使ってきました。
Vz風のキーバインディングのキモはダイヤモンドカーソル(コントロール+A,S,W,Zがカーソル移動)です。ダイヤモンドカーソルとのなれそめは、MS-DOS時代の「一太郎」でした。Vzエディタを常用するようになってからVz風一筋で、Windowsの秀丸エディタも、メーラーのエディタもVz風に設定してきました。
問題は、Webブラウザのテキスト入力エリアです。
GoogleをはじめとするWeb上のサービスを多々利用するようになると、ブラウザのテキスト入力エリアでキーバインディングが使えないことにストレスを感じるようになりました。MacOSでもブラウザは完全にはemacs風になっていません。カーソル移動のつもりでブログ記事を公開してしてしまったり、調子悪いことおびただしい。
それを救ったのが、Firefoxのアドオン "firemacs" です。名前の通り、Firefoxにemacs風のキーバインディングを与えるアドオン。こいつをインストールすると、Google Docsからグループウェアまで、Firefoxでアクセスするすべてのサービスでemacs風キーバインディングが使えるようになります。すばらしい。
これを使い始めてからキーバインディングをemacs風に統一することを決意しました。Windowsの秀丸エディタもメーラーも、みんなemacs風に切り替えを完了。
先日、Firefoxの3.6がリリースされたときは、firemacsがなかなかバージョンアップされなくてひどく難儀しました。それくらい、ブラウザを使う機会が増えているということです。
なお、コントロールキーの位置は、もちろん、'A'の左です。こうなっていない野蛮なキーボードは、ユーティリティを使ってキーマッピングを変更します。こうして手なずけたマシンばかりを使っているので、他人のPCはろくに操作できません。
もともと、テキスト入力中のカーソル移動や削除は、キーボードのホームポジションのまま、コントロールキーとの組み合わせでこなしてきました。ホームポジションからカーソルキーやマウスに手を移動しなくてよいからです。
キーバインディング(キーの割り当て)にはいくつかの流派があります。vi風、Vz風、emcas風。いずれもそこそこ使いこなせます。でも、やっぱり、統一した方が便利。
MacOSは、ワープロからWebブラウザまであらゆるソフトのキーバインディングがemacs風に統一されています。
WindowsはOSで統一されていません。おのおののアプリでVz風の設定を使ってきました。
Vz風のキーバインディングのキモはダイヤモンドカーソル(コントロール+A,S,W,Zがカーソル移動)です。ダイヤモンドカーソルとのなれそめは、MS-DOS時代の「一太郎」でした。Vzエディタを常用するようになってからVz風一筋で、Windowsの秀丸エディタも、メーラーのエディタもVz風に設定してきました。
問題は、Webブラウザのテキスト入力エリアです。
GoogleをはじめとするWeb上のサービスを多々利用するようになると、ブラウザのテキスト入力エリアでキーバインディングが使えないことにストレスを感じるようになりました。MacOSでもブラウザは完全にはemacs風になっていません。カーソル移動のつもりでブログ記事を公開してしてしまったり、調子悪いことおびただしい。
それを救ったのが、Firefoxのアドオン "firemacs" です。名前の通り、Firefoxにemacs風のキーバインディングを与えるアドオン。こいつをインストールすると、Google Docsからグループウェアまで、Firefoxでアクセスするすべてのサービスでemacs風キーバインディングが使えるようになります。すばらしい。
これを使い始めてからキーバインディングをemacs風に統一することを決意しました。Windowsの秀丸エディタもメーラーも、みんなemacs風に切り替えを完了。
先日、Firefoxの3.6がリリースされたときは、firemacsがなかなかバージョンアップされなくてひどく難儀しました。それくらい、ブラウザを使う機会が増えているということです。
なお、コントロールキーの位置は、もちろん、'A'の左です。こうなっていない野蛮なキーボードは、ユーティリティを使ってキーマッピングを変更します。こうして手なずけたマシンばかりを使っているので、他人のPCはろくに操作できません。
2009/07/13
モールトンのタイヤ交換
2009/07/11
シルキーバーディFサス
Peugeot Pacific-18(BD-1)のサスペンション・スプリングシステムを交換しました。二度目の交換です。
交換前は、Sky Shock Springというぶっといスプリングを装着していました。ガチガチに固いし、ハンドルへの荷重を減らすと振動することがありました。また、段差で衝撃が加わるとガチガチと金属の衝突音が発生。
[シルキーバーディFサス]
今回のブツは、加茂屋のシルキーバーディーFサス。ノーマルのほかに、ハードスプリングも調達しました。
製品の狙いは、横方向のガタの低減です。スプリングはシャフト入りが2本。1本に比べて横方向の剛性が向上します。しかも、ボディへもローレットネジでがっちりと固定。ここはサスペンションを折りたたむために脱着可能とする必要があります。オリジナルは、フック一つでひっかけるだけ。横剛性など配慮はゼロでした。
[オリジナル状態]
問題は前ブレーキと干渉してしまうこと。もともと、タイヤホイールを18インチから20インチにアップしていたので、Vブレーキのワイヤがスプリングに接触していました。以前は、ブレーキワイヤをチューブで逃がしていましたが、今回はブレーキワイヤのガイドがスプリングに引っかかって戻らなくなるほどの深い干渉。
一計を案じて、手持ちパーツのショートアームVブレーキを取り付けてみました。
[ショートアームVブレーキ]
アームが短くなった分、テコ比が小さくなり、ブレーキの効きが悪くなるはずです。取り付けてみるとブレーキシューの位置は、ボルト穴の一番下になりました。ブレーキの構造の中で最大のテコ比が確保されたわけです。
走行してみると、横剛性向上の効果はてきめん。不用意な振動や、段差を越えたときの金属衝突音がなくなりました。ノーマルスプリングはちょい乗りで快適。ハードスプリングに交換すると、速度を上げたときの安定感が増します。スプリングを貫通するシャフトは、ガイド穴との摩擦でダンピング効果もあるようです。ブレーキも案ずるよりは効きました。以前、モールトンAPB-8で使っていたカンチブレーキより良好。
さて、どこに走りにいきましょうか。
交換前は、Sky Shock Springというぶっといスプリングを装着していました。ガチガチに固いし、ハンドルへの荷重を減らすと振動することがありました。また、段差で衝撃が加わるとガチガチと金属の衝突音が発生。
[シルキーバーディFサス]
今回のブツは、加茂屋のシルキーバーディーFサス。ノーマルのほかに、ハードスプリングも調達しました。
製品の狙いは、横方向のガタの低減です。スプリングはシャフト入りが2本。1本に比べて横方向の剛性が向上します。しかも、ボディへもローレットネジでがっちりと固定。ここはサスペンションを折りたたむために脱着可能とする必要があります。オリジナルは、フック一つでひっかけるだけ。横剛性など配慮はゼロでした。
[オリジナル状態]
問題は前ブレーキと干渉してしまうこと。もともと、タイヤホイールを18インチから20インチにアップしていたので、Vブレーキのワイヤがスプリングに接触していました。以前は、ブレーキワイヤをチューブで逃がしていましたが、今回はブレーキワイヤのガイドがスプリングに引っかかって戻らなくなるほどの深い干渉。
一計を案じて、手持ちパーツのショートアームVブレーキを取り付けてみました。
[ショートアームVブレーキ]
アームが短くなった分、テコ比が小さくなり、ブレーキの効きが悪くなるはずです。取り付けてみるとブレーキシューの位置は、ボルト穴の一番下になりました。ブレーキの構造の中で最大のテコ比が確保されたわけです。
走行してみると、横剛性向上の効果はてきめん。不用意な振動や、段差を越えたときの金属衝突音がなくなりました。ノーマルスプリングはちょい乗りで快適。ハードスプリングに交換すると、速度を上げたときの安定感が増します。スプリングを貫通するシャフトは、ガイド穴との摩擦でダンピング効果もあるようです。ブレーキも案ずるよりは効きました。以前、モールトンAPB-8で使っていたカンチブレーキより良好。
さて、どこに走りにいきましょうか。
2009/07/07
「世界奇食大全」(杉岡幸徳著、文春新書)
心躍る書物でした。食べ物の話は面白い。
「しかし、押し寄せる奇食の波を乗り越えてみて、わかったことがある。それは、食べ物とはこの世界そのものであり、人間そのものだということだ。」(p.10)世界のどこへ行っても、人間の喜怒哀楽の感情は共通だといいます。けれども、喜怒哀楽を表現する方法はまったく異なります。人間は何らかの型を使わなければ、行動することができません。行動を規制する型こそが、文化というものです。そして、この文化という型は、行動のみならず、行動に至らしめる思考や、行動の入力たる感覚さえも規制するのです。
食べるという人間の基本行動も、味覚という感覚も、もちろん文化に深く根ざしています。そして、食の禁忌=奇食にこそ、食にまつわる文化が先鋭的に現れるわけです。本書が面白いゆえんです。
ちなみに、わたくしの母親の実家は長野県の上伊那地方。本書で「奇食好きにとっては夢のような場所」と紹介されるところです。おたぐり(馬の腸の煮込み)、ザザムシ、イナゴ、ハチの子、まんじゅうの天ぷら、などなど。信州は山国。動物性タンパクが少ないので虫まで食べたと聞いたことがあります。
奇食の中には、肝試しや、美食の果ての悪食といったものもありますが、中には本当においしいものもあります。ハチの子の佃煮はその代表例。機会があれば、ぜひお試しあれ。独特の風味は絶品で、日本酒の肴に好適です。慣れないとビジュアルは強烈かも。
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