「サン・ジャックへの道」(コリーヌ・セロー監督・脚本)を観てきました。(
公式サイト)
サン・ジャックとは、フランス語で聖サンティャゴ(聖ヤコブ)のこと。そこに至る道とは、スペイン西北部のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路であります。フランスのル・ビュイからピレネー山脈を越えて終着地点までじつに1500キロ。徒歩では2ヶ月以上を要するとか。
この映画は、巡礼路を辿るツアーに参加した人びとの人間模様を描きます。まあ、映画としてはぱっとしませんが、背景となる自然は素晴らしい。
フランスの雄大な緑の平原。8月の渡仏を思い出します。TGVやロートルートが通っていない田舎にはこんな雄大な風景が広がっているのでしょう。そして、険しいピレネー山脈を越えたスペインは荒涼たる砂漠。
1500キロの難行苦行を経てたどり着いた聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラのありがたみはいかばかりのものか。
じつは、わたくしもサンティアゴ・デ・コンポステーラに行ったことがあります。10年前に3回も。いずれも飛行機ですいっと到着しました。聖地のありがたみはほとんど感じない始末。
ちなみに、サンティアゴ・デ・コンポステーラは、イベリア半島がイスラムの支配下にあったころ、タイミング良く(ご都合主義的に)聖ヤコブの遺骸が発見されてカトリックの聖地となりました。以後、1492年にグラナダが制圧されイスラム勢力がイベリア半島から駆逐されるまで(コロンブスがアメリカを「発見」した年です)、レコンキスタ(再征服運動)の中心となっていました。この「サン・ジャックへの道」ではイスラム系の登場人物に聖地で「アラー・アクバル!」と叫ばせています。ここはよかった。
なお、サンティアゴ詣でを題材にした映画には、ルイス・ブニュエル監督の「銀河」(1968年)という作品もあります。監督の人の悪さが感じられるいい映画でした。